本格導入前に抑えておきたいセキュリティトークンの話 − 不動産のデジタル化

昨今話題の「セキュリティトークン」が、今後のブロックチェーン業界を語る上で欠かせない存在となってきました。
とはいえ、セキュリティトークンという言葉自体が馴染みのないものであるため、ここでおさらいしておきましょう。

セキュリティトークンが注目される理由

2019年5月31日、第198国会にて「情報通信技術の進展に伴う金融取引の多様化に対応するための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律」が成立しました。

この日を境に、「仮想通貨」から「暗号資産」へと呼び名が変わったことで記憶している方が多いのではないでしょうか。
2020年4月3日にパブリックコメントも発表され、いよいよ5月1日付での施行となります。

この法律により、暗号資産の交換・管理に関する業務の対応として、顧客の暗号資産をコールドウォレットで管理することを義務付けたり、広告・勧誘規制の規定を整備しています。

また、セキュリティトークンは有価証券等の資産の裏付けと正式に認定されています。
そのため、他の金融商品と同様に投資家への情報開示制度や販売・勧誘規制等が整備されています。

参照:情報通信技術の進展に伴う金融取引の多様化に対応するための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律案の概要

セキュリティトークンの特徴

セキュリティトークンは、プログラマブル(デジタル化されプログラミングできること)であることから、管理コストの低減省力化が期待できます。
その分、金融商品としての利回りが上がる可能性もあるでしょう。

出資証券の配当を自動的に計算したり、トークンの移転すなわち不動産投資の出資持分の売買が24時間365日行われることにもなります。
その結果、不動産の流動性が高まることも期待されているのです。

セキュリティトークンの活用法

不動産投資の分野では、クラウドファンディングという投資商品が大変な盛り上がりをみせています。

集団投資スキームの規模での利用が考えられており、出資の劣後部分を運用会社が負担することで、優先部分の出資を募集に応じた一次取得者へと配当します。
この出資分を、セキュリティトークンで管理することにより、売買自由にしようという考えです。

本原稿の執筆時点では、出資持ち分はいわゆるオープンエンドが多く、投資家が一度出資持ち分を購入した場合、償還期限到来による運営会社からの買取が主となります。

上場不動産投資信託(J-REIT)の投資口(株式と同様)であればクローズドエンドであるため、株式同様に証券市場の立会時間中に第三者への売買も行えます。
しかしながら、そこまで流通性が高くはないのが現状です。

セキュリティトークン取り扱い時の課題

金融商品取引業者は、第1種と第2種に分かれています。
このうち第1種金融商品取引業者は、流動性の高い有価証券である株式やその他の資産を取り扱う業者で、証券会社になります。

一方の第二種金融商品取引業者は、みなし有価証券や信託受益権等の流動性の低い有価証券を取り扱う業者です。
具体的には、不動産ファンドはクラウドファンディングを取り扱う不動産業者が兼任していることが多くなっています。

現行では、セキュリティトークンを扱うには第1種金融商品取引業者の基準を要求されるのが原則とされています。

とはいえ、証券会社と同水準のリソースを有していない第二種金融商品取引業者には、要求を満たすための負担が重いのが現状です。
この点については、「令和2年1月14日付令和元年資金決済法など改正に係る政令・内閣府令案等」に一部例外規定が設けられています。

まとめ

不動産業界という非金融分野においても、ブロックチェーン実用化の波が押し寄せてきています。

特にセキュリティトークンについては、自主規制団体も複数設立されている状況です。
現物不動産をデジタル化することで、投資対象として自由に売買できるようになるため、投資家が市場に参入してくると予想できます。

次のブロックチェーンの利活用は、セキュリティトークンの利用と同じく不動産投資の世界だと思われます。

セキュリティトークンは、不動産から得られる賃料を投資家へ配当という形で届ける形になります。
これはキャッシュの流れでいうと下流に位置するといえます。
次はキャッシュの上流、つまり投資不動産(ビルやマンション、ショッピングセンター)から賃料等を収受するアセットマネジメントの工程かもしれません。

この工程は、アセットマネジャーやプロパティマネージャー、信託銀行、金融機関、マスターレッシー、テナントといった複数の関係者が、個別契約や複数間契約によって活動していきます。

これらはまさに複数のプレイヤーでデータを共有する点において、ブロックチェーンの活用が期待できるのです。
この局面でも自動化が進むことで運用報酬(AM/PM)が削減されるため、金融商品として魅力が増すことでしょう。

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