ブロックチェーンを活用した電子投票は実現するのか。海外事例と合わせて詳しく解説

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ブロックチェーンの特徴といえば、仮想通貨の技術として使われ、情報の改ざんが極めて難しい点があげられる。
この特徴を生かし、様々な分野でブロックチェーンビジネスが生まれている。

今回は親和性が高いといわれている「電子投票」の分野で、日本とアメリカの取り組みを紹介する。
事例を元に、ブロックチェーン技術を活用たて電子投票が実現可能か考察しよう。

 

 

日本の選挙における問題点

2019年に実施された参議院選挙の投票率は、48.8%と低く、政策に国民の声が反映されていないことがわかる。
また、静岡県富士宮市では「山田太郎氏」の票が「山本太郎氏」の票として集計されるなど、開票作業でもミスが発生している状況だ。

これらの事態を受けて、日本やアメリカではブロックチェーン技術を活用した投票率の上昇、および事務手続きミスの防止を目指す取り組みが行われている。

アメリカウェストバージニア州でブロックチェーン技術を使った電子投票を実現

2018年11月、アメリカウェストバージニア州の中期選挙で、モバイルブロックチェーン投票システムが実際に活用された。
選挙権を持つ海外駐在軍人1000名ほどが対象となり投票が行われたところ、実際に投票した人は144名であった。

参考値として、2016年のアメリカ大統領選挙における国外からの投票はわずか7%に留まっている。
一方の、モバイルブロックチェーン電子投票システムにおける投票率は14.4%という結果だ。

モバイルブロックチェーンによる電子投票は、投票率の向上に貢献したといえるのではないか。

茨城県つくば市における電子投票システムを活用とした実証実験

2019年8月28日、茨城県つくば市で募集された「令和元年度つくばSociety5.0社会実装トライアル支援事業」の最終審査において、ブロックチェーン技術を活用したインターネット投票の実証実験が行われた。

このプロジェクトは、株式会社VOTE FORや株式会社ユニバーサルコンピューターシステム、日本電気株式会社による合同で実施された。

株式会社VOTE FORが、実証実験の成果を報告している。

  1. 顔認証を導入することで入力作業の手間が減り、投票者の利便性が向上
  2. ICカードリーダーが利用可能なWindows端末の場合、場所や時間の制約を受けずに投票が可能となった
  3. プラットフォームをイーサリアムからハイパーレッジャーファブリックへ変更した結果、投票後の処理効率が改善した
  4. 投票期間中に15回の上書き投票が可能であることを確認し、本人が誰に投票したのかいつでも確認できるようになった
  5. 複数のサーバで分散管理することにより、データの非改ざん性を証明

選挙とブロックチェーンの将来性

ここまで本記事では、アメリカや日本におけるブロックチェーン技術を活用した電子投票システムの取り組みを紹介した。

実証実験では一定の成果をあげているが、日本の国政選挙で実施するのはまだ先になると考えられる。
仮に実施した場合、投票所で投票する形の既存システムは残しつつ、期日前投票に行くことが難しい有権者向けに導入されるのが現実的だろう。

まずは国政選挙で実施する前に、自治体の住民選挙などで実績を重ね課題を解消し、有権者の信頼を勝ち取ることも必要ではないだろうか。

また、国政選挙の導入を考えると、KYC(本人確認)をどのように実施するのかという大きな課題も解消しなくてはならない。
つくば市の例では、個人認証のためにマイナンバーシステム利用した。
しかし、そもそもマイナンバーカードの普及率が10%と低く、多くの情報を集めるのに時間を要してしまう。
そのため、既存のデータベースに記録されている自治体情報を活用した方が、ブロックチェーンを使った国政選挙が実現できる可能性が高いのではないだろうか。

ブロックチェーンの優位性は、複数のノードで同一情報を保有することにより、中央集権型システムよりもダウンタイムを削減できる点にある。
また、スマートコントラクト機能を導入することで処理も自動化されるため、事務処理のミスやデータの改ざんを防ぐことも可能だ。
さらにその結果、人件費の削減も期待できるだろう。

スマートフォンアプリでの電子投票システムが普及することで、自らの意思を表明するツールとしても活躍が想像できる。
ブロックチェーンを活用した電子投票システムは、働き方が多様化している現代において非常に重要な存在になりそうだ。

一人でも多くの声を反映し、より民主化された社会の実現に向け、ブロックチェーンを活用した電子投票システムは大いに有効であると考えられる。

※参考文献

 

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