2009年にビットコインブロックチェーンが稼働を開始してから今年で10年目を迎えている。
パブリックチェーンの実用化はまだまだ未来の話であると考えられるが、一方で、ブロックチェーンの実用化が全く進んでいないわけではない。
本記事では、ブロックチェーンの実用化の現状について考察する。
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実用化はコンソーシアムチェーンとプライベートチェーンが牽引
ブロックチェーンの実用化は世界各国で数多く誕生しているが、そのほとんどが、コンソーシアムチェーンかプライベートチェーンによるものとなっている。
クラウドやデータベース事業を展開するOracleによると、2018年7月より運営する企業向けのクラウドベースのブロックチェーンプラットフォームは、既に12社の顧客を抱えているという。
この顧客には、中国のGlobal Shipping Business Network(GSBN)やアラブジョーダン投資銀行、Certified Origins、NeuroSoft、TradeFin、HealthSync、OriginTrail、ICS FS、SDK.Finance、およびナイジェリアの税関が含まれる。
以前は、企業向けのブロックチェーンは、IBMの独占市場となっていた。
なお、最も有名な事例としては、we.tradeとFood Trustによる一次産業のためのコンソーシアムチェーンがあげられる。
企業向けブロックチェーンはHyperledger Fabricの一強か
Oracleの台頭により、企業向けのブロックチェーンはIBMの独占市場ではなくなった。
しかし、OracleもIBMも、Hyperledger Fabricを使用したブロックチェーンプラットフォームとなっている。
Oracleのブロックチェーン製品開発責任者を務めるFrank Xiong氏によると、ブロックチェーンはまず実用化が進められることが重要であるという。
Hyperledger Fabricを使用することで、すぐにブロックチェーンプラットフォームを立ち上げることが利点だ。
実際、IBMとOracleのように、早い段階からサービスを提供してきたことが影響し、企業向けブロックチェーン市場を牽引することができている。
コンソーシアムチェーンやプライベートチェーンはオープンソースではない
OracleやIBMの台頭により、ブロックチェーンの実用化が進んだことは非常にポジティブなことであるといえる。
Xiong氏によると、Oracleは1年以上に渡りHyperledger Fabricの改善に貢献してきたという。
データベースの機能強化のために、FabricのLevel DBをOracleのBerkeley DBへと切り替える役割を果たした。
そしてこれにより、より優れたパフォーマンスと豊富なクエリ機能を実装することに成功している。
しかし、これらのブロックチェーンプラットフォームはオープンソースではない。
そのため、特定の誰かによって簡単に仕様変更や機能追加ができてしまうのである。
先述したFabricのOraleデータベースの採用がわかりやすい事例だろう。
この状態では、ブロックチェーンの本質的な価値を活かすことはできない。
ブロックチェーンはオープンソースであるからこそ、優れたコミュニティが形成され、より社会的に本質的なサービスへと改善されていくのである。
Web3.0の社会を実現するために、非中央集権を追求した、パブリックチェーンの実用化が期待される。