ブロックチェーンはなぜ必要なのか。事例と共に詳しく解説

人工知能やVRと並び先端テクノロジーとして称されるブロックチェーンですが、技術の普及に伴い「Why Blockchain」すなわち、それ「ブロックチェーン使う必要ある?」と疑問視されるプロジェクトが増えてきました。

本記事では、ブロックチェーンってよく耳にするけど何が凄いの?という方のために、ブロックチェーンがなぜ必要なのか、社会をどう変革するのかについて説明します。

 

 

ブロックチェーンとは

ブロックチェーンがなぜ必要なのかについて触れる前に、まずはブロックチェーンについて簡単におさらいしておきます。

前提として、「ブロックチェーンとは?」を一言で表現するのは至難の業です。
まるで、インターネットとは?という途方もない質問を投げかけているも同然だと思ってください。

この前提の元、多少強引に一言で表現するのであれば、ブロックチェーンは「価値のインターネット」といえるでしょう。

まず、インターネットによって「人やモノ」が繋がるようになりました。
インターネットが普及したことで、例えば手紙や電話でやり取りしていた状態から、距離や時間を超越して我々は人と繋がることができています。

そしてブロックチェーンを活用することで、次は人やモノの価値を繋げようとしています。

ブロックチェーンの文脈における人やモノの価値というのは、基本的には未だ可視化されていないものを意味します。
例として、人間のボランティア活動や1平方センチメートル単位の家具の面積などがあげられます。

詳細は後述する「トークナイゼーション」で説明しますが、ブロックチェーンを活用することで、「これまで可視化されていなかったけど本当は価値があるもの」の価値を可視化して流通させることができるのです。

さらに補足すると、人やモノの価値を、特定の管理者不在の状態で可視化して流通させる仕組みがブロックチェーンといえます。

特定の誰かが管理することを前提に社会は成り立っている

現在の社会のあらゆる仕組みは、特定の管理者が存在することを前提に成立しています。

例として、モノの所有権国家について考察を深めます。

当然のことですが、世の中の全てのモノには所有者が存在します。
不動産や車、スマートフォン、タピオカ…
では、そういったモノの所有者はどのように決められているのでしょうか。

こちらも当然のことですが、不動産であれば登記簿謄本、車やスマートフォンであれば購入履歴を見ればわかります。
そして、それらには必ず管理者が存在するのです。

別の例として、国家について触れていきます。

本記事は、日本で日本人が書いています。
当然、国籍は行政が管理し、簡単に国籍を変えることはできません。
これは国家が管理者となっているからです。
この例については、特に議論の余地はなく、至極当然のことだといえます。

このように、社会のあらゆる仕組みには必ず特定の管理者が存在し、その管理者によって我々の生活の「当たり前」が成立ないし守られているのです。

ブロックチェーンはなぜ必要なのか

管理者の存在によって社会が成立していることは疑う余地のないことですが、管理者が存在することによる弊害も、当然存在しています。

ここからは、管理者が存在することによる弊害の事例を紹介し、仮に管理者が不在の状態で同じ仕組みが成立するとしたら、社会はどう変革していくのかについて言及していきます。

この「管理者不在の状態で同じ仕組みが成立する」を実現するのがブロックチェーンです。

国際送金におけるブロックチェーン活用

KIZUNABitcoinで支援先に寄付ができるプラットフォーム「KIZUNA」

まずは国際送金です。

日本で生活をしているとあまり実感できませんが、現状の国際送金には非常に多くのサードパーティ(仲介者・管理者)が存在しています。

送金する側・受け取る側いずれも銀行口座が必要になり、それに伴う高額な手数料が発生します。
また、銀行送金手数料以外にも、外国通貨に両替する際に為替手数料が必要になります。

出稼ぎが多いことで有名な発展途上諸外国では、家族のために海外に出て働く人が多いですが、給料を送金する際に高額の手数料が差し引かれ、せっかく稼いでも手元にほとんど残らない状態となっています。

この状態を解決するのが、仮想通貨です。
「仮想通貨 > ブロックチェーン」のイメージが強い人が多いかと思いますが、基本的には、「仮想通貨 < ブロックチェーン」となります。

なぜなら、仮想通貨はブロックチェーンを使った最初の事例に過ぎず、ブロックチェーンは仮想通貨以外の用途にも活用されているからです。
要するに、仮想通貨はブロックチェーンを使った通貨ということになります。

この仮想通貨を国際送金の場面で使用することで、特定の管理者を排除することができ、手数料を抜かれることなく送金することが可能です。
また、銀行の営業時間を考慮する必要がなくなるため、いつでもどこでも気軽に送金を行うことができます。

今後、社会はさらにボーダーレスになっていきます。
ボーダーレスな社会においては、通貨もボーダーレスになって然るべきでしょう。

ブロックチェーンによってプライバシーを保護する

Enigma制限付き完全準同型暗号でシークレットコントラクトを実装する「Enigma」

続いてはプライバシーです。

EU加盟国の国民のデータ保護を強化・統合することを目指す規制として2018年に施行されたGDPR(General Data Protection Regulation)や、Facebookのデータ漏洩問題に端を発しているプライバシーの問題は、ブロックチェーンで劇的に変革されます。

スマートフォンが普及したことで、SNSやスマホゲームなどのフリーミアム型のサービスが爆発的な成長を記録しました。
フリーミアム型というのは、サービスを無料で利用できる代わりに様々なデータを提供する形態のものです。

GoogleやFacebookなどは無料で利用することができますが、その代わりに以下のようなデータを提供しています。

  • 位置情報
  • 利用履歴
  • 友人・知人との繋がり
  • メッセージ内容
  • 検索結果
  • 利用頻度
  • etc…

GoogleやFacebookは、これらのデータを取得することでより精度の高い広告を表示し、広告主からの売上を高めています。

もはやこれらの「TechGiant」は、我々よりも我々の身内の情報に精通していることでしょう。
それほどまでに膨大なデータを、GoogleやFacebookは血眼になって掻き集めているのです。

URLやHTTP、HTMLを最初に設計し、「Webの父」と呼ばれるようになったティム・バーナーズ・リー氏は、「個人のデータは個人に帰すべきである」と強く言及しています。

では、フリーミアム型の同じ類のサービスを、GoogleやFacebookのような管理者が存在しない状態で、データを取られることなく利用できるとした場合、我々はどちら選択するでしょうか。
これほど自明の問いはないと思います。

現在、ブロックチェーンを使ったフリーミアム型のサービスが世界中から続々と誕生しています。

「個人のデータを取り戻せ」
これは今後もブロックチェーン業界の合言葉になるでしょう。

極小価値の可視化、トークナイゼーション

3つ目はトークナイゼーション(Tokenization)です。

我々の生活の中では、正しく評価されていない価値がまだまだ数多く存在しています。

例えば、日本固有の価値観である「おもてなし」や、ボランティアといった人間の行動があげられます。
他にも、学歴や職歴で評価できない部分の、個人の能力や適正などが該当します。

これらの価値は全て、ブロックチェーンで可視化することができます。
具体的には、これらの価値をトークンで表現して(トークナイズといいます)ブロックチェーンで管理します。

ブロックチェーンは、現実世界での管理が難しかった「マイクロバリュー(極小価値)」を管理することに長けています。
なぜなら、マイクロバリューのほとんどは、管理者が存在することによる手数料や、可逆的な取引を実現するためのシステム設計が原因で可視化できていなかったからです。

管理者が存在することで手数料が必要になると、手数料を下回る価値を管理することができなくなります。
ブロックチェーンを活用することで管理者を排除することができるため、数円単位もしくは1円未満の単位にまで価値を細分化して管理することができるようになります。

また、万が一利用者同士でトラブルが発生した場合に備え、管理者は取引を無かったことにするための機能を予めシステムに用意しておく必要があります。
この可逆的な機能を運用するためには、莫大な維持費用が発生するため、やはり少額取引に対応することができないのです。

しかし、ブロックチェーンが登場したことにより、身の回りのマイクロバリューが可視化されます。

ただし、このトークナイゼーションを実現するにはオラクル問題という課題が残されています。

ブロックチェーンに記録されたデータは、改ざんが困難な状態になります。
(※改ざんが不可能という記述を頻繁に見かけますが、改ざんが困難なだけであって不可能な訳ではありません)

しかし、ブロックチェーンに記録されるデータの信憑性は、ブロックチェーンの外部で担保する必要があります。
要するに、ブロックチェーンに記録されるデータが偽のデータだった場合、それが正しいデータとして流通してしまうということです。
これをオラクル問題といいます。

オラクル問題の解決策としては、ブロックチェーンに記録されるデータの信憑性を複数の人物からの投票で判断したり、行政を巻き込んだりといったアプローチが出てきています。

ゼロダウンタイムの実現

4つ目はゼロダウンタイムの実現です。

これは少しシステム寄りの話になってしまいますが、開発者にとっては非常に大きなメリットだといえます。

ブロックチェーンはよく、分散型データベースと何が違うの?という議論にかけられます。
そもそも分散型データベースとは、地理的に分散しているデータベースを意味します。
通常のデータベースの場合、操作ミスなどの人的障害や地震・雷などの自然災害によって壊れてしまう可能性があるため、複数のデータベースを地理的に分散して稼働させているのです。

この分散型データベースとブロックチェーンとの最大の違いがゼロダウンタイムです。
ゼロダウンタイムというのは、サーバダウンが発生しないということを意味します。

以下の図のように、Webサービスに対して一度に大量のアクセスが発生すると、Webサービスを管理するサーバが負荷に耐えられなくなり、一時的に使用できない状態に陥ってしまいます。

zero-down-timeブロックチェーンの学習サービス「PoL(ポル)」より

その他にも、仮想通貨取引所などは定期的なシステムメンテナンスを行なっており、メンテナンス中はサービスが利用できず、買い時・売り時を逃してしまう、といった状況も発生しています。

ブロックチェーンにはサーバという概念が存在しないため、ゼロダウンタイムを実現することができるのです。
これは、普段から莫大なコストをかけてサーバを管理している現状を改善する、非常に大きなソリューションだといえます。

恣意性の排除

最後は恣意性の排除です。

繰り返しますが、現在の我々の生活は、特定の管理者が存在することによって成立しています。
これは同時に、管理者による恣意性を当然のことのように受け入れて生活しているということです。

例えば、Googleを使って「ビットコイン論文 解説」と検索すると、検索結果には無数のWebサイトが表示されます。
この検索結果を、皆さんは特に意識することなく、上から順番に閲覧していることでしょう。
しかし、この検索結果はSEOという技法である程度操作することができます。

他にも、SNS投稿が原因で問題になっているフェイクニュースなど、我々の身の回りには、当たり前のように受け入れている嘘ないし操作された情報が溢れ返っています

この状態は、ブロックチェーンを使うことで解消することができます。

例として、ブロックチェーンを活用したSNSを考えます。
ブロックチェーンに記録されたデータは書き換えることが困難であるという特徴を活かすことで、SNSにフェイクニュースや悪口を書き込む行動を抑制することができるでしょう。
なぜなら、一度でも書き込んでしまうと簡単には削除することも編集することもできないからです。

ブロックチェーンのこの特徴は、人間の悪意ある行動の抑制力として作用することが期待されています。

ブロックチェーンの前提はDecentralization(非中央集権)

「Why Blockchain」
これはしばらく議論が続けられるテーマだといえます。
なぜなら、まだまだブロックチェーンを活用したサービス事例が登場しておらず、過去から学ぶにはデータ量が少なすぎるからです。

その中で一ついえることは、「Why Blockchain」は「Decentralization(非中央集権)」が前提にあるということです。
非中央集権に相反する、特定の管理者が存在する状態の場合に用いられるブロックチェーンの多くは、おおよそ他の仕組みで代替することができます。

ブロックチェーンを使ったサービスを何か考える際には、ぜひ「Decentralization」を訴求してみてください。

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