【PoLインタビュー】ALIS 安氏に聞く、グローバルなブロックチェーン業界で生き残るために必要な能力とは?

Masahiro Yasu

2017年9月に、国内初の規模でICOを実施し4.3億円を調達した分散型ソーシャルメディア「ALIS」。今回は、ALISのCEOである安 昌浩 氏に、グローバルなブロックチェーン業界で生き残るために必要な能力、とりわけ英語力の重要性について伺いました。

株式会社ALIS 代表取締役 安 昌浩 氏

−−まずは自己紹介とALISの紹介をお願いします。

ALISという会社で代表取締役をしている安と申します。
新卒でリクルートに入って、6年半ぐらい企画業務や新規事業の立ち上げを担当していました。
リクルート在籍期間中にICO(Initial Coin Offering)を実施し、無事成功したので独立した形になります。

ALISとしては、分散化されたソーシャルメディアを作りつつ、社会関係資本のような、人の繋がりが強くなるような、そんなサービスを作りたいなと考えています。
その第一歩として、個人が記事を書いてその記事をみんなが評価し合う、といったブログサービスからスタートしています。

目指す理想像としては、中国で話題の信用スコアみたいなものをベースに、人の繋がりが強くなる世界です。

Masahiro Yasu

ALISにとってグローバルを意識する必要性

−−ALISを運営する上で、グローバルの重要性、とりわけご自身の英語力はなぜ必要だったのでしょうか?

英語力の必要性はICOを実施した頃から既に実感していました。
当時は、まず何から始めれば良いのか、何が必要なのか、そういったICOに関する知見は日本に全く蓄積されていませんでした。

そのため、必然的に英語で調べる必要があったんです。
ICOはグローバルセールなので、英語ができないと何も始まらないというか。

その頃は、大学受験の遺産のような英語力とGoogle翻訳でどうにか対応していたのですが、いざ出資してもらうとなるとそれではダメだよなと思うようになりました。

片言の英語しか話さない日本人に誰が投資するんだと。

その後さらに英語の必要性が如実になったのが、実際に事業を展開するときですね。
例えば、パブリックチェーンを構築するためのナレッジや分散化されたアプリケーションのガバナンス、トークン報酬システムの設計など、日本には全く情報がありませんでした。

このままでは経営が傾くというか、会社を運営できなくなる、そういった危機感は本当に感じていました。

ブロックチェーン業界における英語力の位置付け

−−ブロックチェーン業界において、なぜ英語力が重要だと思いますか?

回答は非常にシンプルです。
ブロックチェーン業界全体を俯瞰してみたときに、単純に英語がメインのコミュニケーションツールだからです。

現状、ブロックチェーンのメインストリームは海外で形成されていますし、今後も変わらないでしょう。
例えば、Ethereumのコアデベロッパーは明らかに海外がメインですし、日本にはほとんどメインストリームが存在しません。

従って、英語力がないと何もできません。業界構造は海外が作っているんです。

−−実際にブロックチェーン業界で勝負するとなると、どれぐらいコミットした段階で英語力が必要になると感じていますか?

本当にブロックチェーン業界に入り込んで業界の発展に貢献したいと思うのであれば、すぐにでも必要だと思います。
メディアが出す海外の情報と実際の一次情報ってやっぱり違うんですよね。

例えば、10月にドイツで開催されたWeb3サミットに参加してきたのですが、PolkadotのGavinやEthereumリサーチャーのVlad、TezosのArthurは、ブロックチェーン時代のガバナンスとは何かについて説明するセッションを担当していました。

その場では内容が完璧にはわからなかったので、日本に帰ってから改めて詳しく調べたんですけど、やっぱり日本語の情報は存在しません。
ある程度は英語が読める、というレベルだと難しい内容のものはしっかりと理解できないし、時間がかかりすぎるんです。

そこでGoogle翻訳を使ってしまうと、コンテキストがめちゃくちゃになってしまって正確に理解することができません。
特にブロックチェーンの文献って、日本語で読んでも難しいのに、付け焼き刃の英語力では到底かなわないんです。

なので、本気で勝負していこうと思ったら、英語力は絶対に必要ですね。
そこそこの情報で満足するなら話は別ですが…

−−それこそSubstrateとか、日本語の情報ほとんどないですよね。

そうですね。
Web3サミットをはじめ海外のカンファレンスに行くと、Substrateとか普通に質問が出まくります。

一方で、日本で同じようなカンファレンスをやっても、そんなことにはならないですよね。

Masahiro Yasu

英語力から派生するグローバルマインドによって変化する環境

−−英語力が身について変わったこと、実現したことは何かありますか?

まず、私自身もまだまだこれからだということは強調したいです。(笑)
それでもやはり、以前の自分と比較すると、明らかに取得できる情報の質が変わったことは実感しています。

これは、英語で情報を取得するのが苦じゃなくなったのが大きいと思います。
苦じゃなくなったというのは、嫌じゃなくなったということです。ネイティブと会話する機会が増えましたね。

以前は、海外からプロジェクトが来日して開催するミートアップに参加しても、辿々しい英語しか話せなかったので、自分が聞きたいことも聞けませんでした。
これが最近は、自分の聞きたいことが聞けるようになり、現地の生の情報が取得できるようになったんですよね。

情報の精度が高くなって、説得力も増したと思います。
そうなると、実際に我々も海外に行ってみようという話になりますし、事業計画の立て方にも大きく影響を与えるようになりました。

ベルリンのWeb3サミットでは、実際に参加したことで海外との格差を痛感しました。
彼らを基準として自分たちはどう勝負していくか、視座が上がりましたね。
それまでWeb3の概念はそこまで強くみてなかったんですけど、実際に行ってみて、これはもうWeb3大前提で普段から会話しないとダメだなって思いました。

それに従い、会社の方向性も変わっていきましたね。
個人が価値を持ち、個人が情報を持つ。それがトークン化されて受け渡しができるようになった世界に対して、ALISメディアがどうあるべきか、という意識が強くなりました。

これは非常に大きな変化だと思っています。

ラディカルマーケット(Radical Markets)とは

少し話題が逸れますが、日本でいうトークンエコノミーみたいな概念に対する海外の捉え方ってちょっと違ってるんですよね。

最近、RADICAL MARKETSという本を読んだのですが、この本では、社会をどうより良く変えていくか、そのためにどのように経済システムを変えていくかという話がされています。
このラディカルマーケットという概念に対して、どうトークンを適用していくかという話が海外ではされているんですよね。

日本だと、独自トークンがどうとかマネタイズがどうとかのレベルに留まっているんですけど、海外だと完全に次のフェーズに入っています。
DAppsレイヤーだけでなく、ブロックチェーンの生態系ガバナンスといった視座の高い議論がされているんですよね。

こういった実態に触れると、やっぱり意識変わりますね。
ちなみに英語学習という側面でも、RADICAL MARKETSを読み切ったらけっこう自信になると思います。(笑)

Masahiro Yasu

英語学習を本格的に開始するきっかけとなった出来事

−−話題を英語学習に戻しますが、いつから本格的に英語学習を始めたんですか?

これは2017年の12月です。
ALISのICOが終わったのが2017年の10月で、世界中に出資してくれた方がいたので、海外にコミュニティ作るのも大事だよねという話になり、3月に海外でミートアップを開催することが決まりました。

ミートアップの開催が決まったのが12月で、そのタイミングでいよいよ今の英語力のままじゃ厳しいなという実感を抱き始めたんです。

−−余談ですが、ICO実施時の海外へのPRって当時はどのように行なっていたんですか?

出資までのプロセスで話すと、まずは認知獲得から始まります。
認知獲得の部分は、ICOリスティングサイトに掲載するアプローチが効果ありましたね。
その後、興味喚起→ファン化→出資といった流れになるかと思います。

興味喚起をしたらSlackに参加してもらうようにしていました。
Slackの参加者は日本が好きな人が多く、そこでコミュニケーションをとってプロジェクトを好きになってもらうように促していきます。

どのように英語学習を行なっているのか、継続の秘訣

−−語学学習って、ある程度続けると少し伸び悩む時期があるじゃないですか。普段どのように学習を継続していますか?

まず、英語力を大別すると、日本人が苦労するのはリスニングとスピーキングですよね。
リーディングはまぁなんとなく読めるようにはなるので。
リスニングとスピーキングに重点を置いてきたという前提の元、英語学習を4つのステップに分類してお伝えしたいなと思います。

第1ステップですが、スピーキングは基本的な文法構造を身につけるために、瞬間英作文という学習方法を2ヶ月間ひたすら繰り返しました。

この方法で、基本的な力は身についたと思います。
ここで重要なのが、1日最低でも2時間は学習時間を確保するということです。
瞬間英作文を毎日2時間ひたすら2ヶ月間も続けるのは大変なのですが、これをやるとなんとなく言いたいことは言えるようになります。

第2ステップは、恐れずに英語が使えるようになること、だと解釈しています。

やっぱり使ってみる、実践してみるに尽きるんですよね。
私の場合、このタイミングで通訳なしでヨーロッパに行きました。
これでいきなり英語が上達するとかではないんですけど、英語を話すことに抵抗感がなくなるんですよね。

−−このときって確か、何かのイベントに登壇されてましたよね?

そうですね、このときはイギリスとオランダに行ったのですが、オランダのアムステル大学の講演にアサインしていただき、パネルディスカッションに参加させていただきました。

もう一人の登壇者が、ゴールドマンサックス出身で、参加者もアムステル大学の生徒さんたちで、物凄いスピードの英語で質問してくるんですよね。しかも事前に質問は教えてもらえない状況で…(笑)

このときはもうどうにもならなかったですね。(笑)
なんとか聞き取れる単語を拾ってストーリーをでっち上げるというか、完全に会話になってなかったですね。“We have to destroy the government.”とか言ってました。(笑)

参加者の中に日本人の留学生がいたんですけど、講演が終わった後に、「何を言ってるかわからなかったし何も伝わってなかったけど、パッションだけは伝わってきたよ」って言われましたね。(笑)

第3ステップが厄介で、なんとなく英語が身についた気がするけど、ちゃんとできるようになるかわからなくなる、という不安にかられるフェーズになります。

これは、自分の納得感を追求するという考え方で乗り越えました。
自分の課題を分析して明確にします。発音が悪いとか、口語を知らないとか。
この課題を解消するには、より具体的なアプローチが必要になると思います。
ネイティブと話す機会を増やそうとか、シャドーイングの精度をあげようといった具合ですね。

これを繰り返すことで、英語うまくなれるかも、というマインドになるんですよね。
継続すればできるようになる、という自信をつけることが本当に大切だと思います。

第4ステップがまさに今やってる最中なんですけど、自分に必要な英語力が何かわかるようになってくるので、そこを重点的にひたすら繰り返します。少しでもネイティブに近づけるように。

そのために、やっぱり実際に英語に触れる機会を増やすことが大事ですね。
海外プロジェクトが来日するミートアップに参加してみたり、英語の文献を漁ってみたりすると、自分の課題が見えてくると思います。

−−この先ぶつかるであろう課題は何か見えていますか?

まだまだ英語に触れる時間が圧倒的に少ないので、そもそも英語学習の時間を確保することに苦労するときが来るだろうなと思っています。
そのためには、やり続けたいと思う教材が大切ですね。

英語力でいうと、この後はとにかくリスニング力だと思っています。
私の場合、ある程度伝えたいことは伝えられるようになったので、相手のことをどれだけ理解できるかが重要になります。

それでもまだまだ、5分の2とかしか身についてないですよ。(笑)

PoLの英語教材について

−−ブロックチェーン業界で実際に使う英語だけを抽出した教材についてどう思いますか?

最短で効率よく、この業界での生産性を高めるために英語を学習するのであれば、100%アグリーですね。
ブロックチェーン業界で使う英語ってだいたい決まってくるので。

一方で、英語って知識よりもマインドセットが大切かなと思っていて、要するに、自分がネイティブと英語で話しても大丈夫かな?という意識が重要なんですよね。
この意識は、ブロックチェーン業界の英語だけだと身につかないと思います。

例えば、ふと一般的なニュースを英語で見たときに理解できないと、あれ英語できないじゃん…ってなる可能性がありますよね。
なので、総合格闘技として考えると、ブロックチェーン業界以外の英語も後々必要になってくるとは思います。

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Masahiro Yasu